高品質フォントの敷居を下げる新サービスの、ブランディングとLPデザインを行いました。
フォントサービスだが、フォントサービスではない
プロ向け高品質書体のデザインを行うフォントワークス社の新事業ブランディングと、第一弾リリースのランディングページのデザインを行いました。 特定の用途・ユーザーに特化したセレクトを行い「フォントパック」として提供する、mojimo(もじも)という企画の立案時から担当者と並走・議論し、よい書体をどうしたらもっと普及していけるのか、またどうしたらその価値に気づいてもらえるのか、そして息の長い事業とするためのアウトプット方法はどういったものがよいのか、オンライン施策を立案。 「mojimoブランドサイト」と「テンプレート化された各フォントパックのランディングページ」という組み合わせで、各パックの企画から発売までのサイクルを短くできるような設計を提案しました。これは、高額で業務用途が当たり前だったこれまでのフォント市場とは異なるユーザーに価値を届けるため、他業種である生活用品メーカーなどの手法を転用・アレンジしたものです。
プレーンな箱と多彩な書体
サービス全体のビジュアル・アイデンティティは、必要なものをワンパッケージにする「箱」をモチーフとし、強力な拡張性を込めたロゴマークを軸として展開しました。自信/先見性/信頼感/力強さ/モダンさ/ニュートラルさといったイメージをバランスをみながら取り込むことで、各フォントパックを通してそれぞれのユーザーにとってあるべき形を提案することができないかを模索しました。造形としてプレーンなものに定着させたことで、大きさや面積への柔軟な展開を行うことができました。
またVI開発に伴い、「ちょうどいい文字を ちょうどいい価格で/good font good price」というタグラインもあわせて提案。 色や形だけを規定するのではなく、多面的にブランドを考えることで、価値観のフレームを形作っています。
同人制作者へのメッセージ
第一弾のフォントパックとして「mojimo-manga」を発売。ランディングページ制作を担当しました。VIのプレーンさを活かし、届けたいユーザーへの「信頼」を表現するため、イラストレーションにはナナカワ氏(@7_kawa)を起用。同人創作の「つくる楽しさ」を表現したイラストレーションを制作いただきました。イラストディレクションとして細かなすり合わせを行い、パララックス表現を控えめに用いることで、創作世界の広がり、またイラストレーションだけでなくコミックなども視野に入れたパッケージであることを示唆するようなビジュアル表現を実装しています。そして「Try! mojimo-manga」として、フォントが変わるとどのように表現が変わるのかをその場で試せるコンテンツも提供しています。
気付きの表現と仕組みのデザイン
各フォントパックのLPは、テンプレートをGitHub上からCloneできるよう整備。それぞれのパック制作にアサインされた制作者に取り回しやすいよう整備しました。LP部分は明確にエリアを分け、機能部分は設定ファイルの書き換え、メインコンテンツ部分はほぼフリーな構造とし、フォントパックごとに極端に異なる対象ユーザーへの最適化を行いやすいようデザインしています。これにより、ブランド自体に引っ張られすぎないアウトプットを行うことができ、それぞれのユーザー層にとって「フォントの価値への気付き」を促しやすい設計を目指しました。また、mojimoブランド本体はそれぞれのパックの個性を邪魔しないプレーンなものとして徹底し、機能面を集約。LP立ち上げにかかるコストを削減しながら、管理を一元化しています。 高品質なフォントをもっとたくさんの人に使ってもらいたい、というクライアントの熱意とチャレンジする姿勢をバックアップできるよう、「足りなかったもの」を形にする作業に取り組みました。
(デザイナー 関口)